賃貸の退去時費用の仕組みと高額請求を避ける方法
賃貸物件の退去時に突然高額な費用を請求され、「本当に正しい金額なの?」と疑問に感じる人は多くいます。実は、退去費用には明確なルールがあり、借主が支払わなくてもよい部分を不動産会社が請求しているケースも珍しくありません。
本記事では、国土交通省が定める「原状回復ガイドライン」をもとに、退去費用の基本と無駄な出費を防ぐ方法を解説します。
◆退去費用は「原状回復」が基本ルール
退去時費用は、部屋を入居前と同じ状態に戻すための費用……
ではありません。
ここが誤解のポイントです。
原状回復=借主の使い方による損耗のみを元に戻すこと
これが正確な定義。
つまり借主は、
✔ 日常使用で自然に劣化した部分
✔ 年月による設備の寿命
については負担する必要はありません。
◆借主が負担しなくていい費用の例
【経年劣化・通常損耗】
✔ クロスの変色
✔ フローリングの色褪せ
✔ 家具跡(軽い凹み)
✔ 日焼けによる変色
✔ 冷蔵庫裏の黒い跡
【設備の寿命】
✔ エアコン清掃(一般的な機能低下)
✔ 給湯器の老朽化交換
✔ 網戸の長期使用による張替
こういったものは大家負担であり、請求されても支払義務はありません。
◆借主が負担すべき費用の例
以下は借主による損耗と見なされやすいものです。
【明確な破損】
✖ 壁に穴を開けた
✖ 室内喫煙によるヤニ汚れ
✖ ペットの爪跡
✖ 水漏れ放置によるカビ
✖ クリーニング拒否による退去
【迷いやすい部分】
例)壁紙張替
→損耗部分のみ借主負担
つまり
1面全面張替でも負担は該当部分だけ
例)一部焦げ跡
→焦げ部分のクロス㎡単位計算で算出
◆退去費用の計算方法
一般的には
壁紙の場合
(補修面積 × 平米単価) × 経過年数割引(原価償却)
となります。
例:
クロス耐用年数6年
入居6年以上 → 借主負担0円
入居3年、張替1㎡のみ → 約50〜70%負担
🔥意外と多いのが
耐用年数経過でも請求されるケース
→ ガイドライン的には無効
◆クリーニング費は原則「契約による」
退去時のハウスクリーニング代は法律では定められていません。
つまり…
✔ 契約書明記 → 支払い義務あり
✔ 記載なし → 支払わなくてよい
例)よくある記載
「退去時クリーニング代として◯万円を負担」
これは有効です。
契約書が何より強いのがポイントです。
◆支払い前にすべき確認リスト
■ 契約書の原状回復条項
■ 見積書の明細が細分化されているか
■ 面積単位か?一式請求か?
■ 経過年数(入居期間)
■ 範囲は本当に借主原因か?
✔「一式〇〇万円」
→悪質請求によくある形式です
◆高額請求を避ける方法
① 入居時写真を残す
スマホでOK
特に
・床
・壁
・設備
・窓枠
これは最強の証拠になります。
②退去時立ち会い時に署名しない
その場では確定しなくていいです。
見積書を受け取り、後日判断でOK。
③疑問点は明確に質問する
例)
「なぜ全面張替になっているのか?」
「経過年数は考慮されていますか?」
と聞けば態度が変わるケース多数。
④見積と写真を比較する
→整合性がなければ減額交渉可
◆よくある相談事例(実例)
📌例① クロス全面張替で12万円請求
➡ 原因は一部シミ
➡ 部分貼替で2万円に減額
📌例② フローリング全面貼替の請求
➡ 家具跡のみ
➡ 修繕必要なしで0円に
📌例③ クリーニング代4万円請求
➡ 契約書記載なし
➡ 支払義務なし
★まとめ
退去時費用は
✔ 原状回復費用のみ支払うのが正解
✔ 経年劣化は借主負担ではない
✔ 請求額は根拠資料の確認が必要
✔ 契約書の条項が重要
不安な場合は、見積書を保管し
相談機会をもつことをおすすめします。
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